メモリ

◎ パーツ選定のポイント 3


メモリは、16GB以上の容量を以前と比べると安くPCに搭載できるようになりました。
そのため、メモリの容量不足による影響はほぼなくなっています。

規格はDDR4とDDR3が現役。
マザーボードによりますが、基本は、SkylakeはDDR4、Broadwell-EはDDR4、
BroadwellはDDR3、HaswellはDDR3です。

2016年9月現在、BTOでは、DDR4-2133(PC4-17000)とDDR3-1600(PC3-12800)が一般的。
自作ではDDR4-2666などのオーバークロック・メモリも人気があります。
(Skylakeでは、定格メモリが、3Dゲームなどで足を引っ張るという噂)

結論はBTOならば起動は保証されているのもあってバルクメモリでなければ安価なメモリでも高価なメモリでも使用上の差はほぼないといえる。


メモリの選び方

8GB以上を推奨

64bit OSでは8GB以上、32bit OSでも4GB以上を推奨。
保証無しのノーブランドよりは保証有りの名のある品を選びたいところ。

空きメモリは無駄になっているわけではない

メモリの空きは無駄になっているわけではなく、キャッシュ(高速化)に利用されています。
そのため、メモリの容量には余裕を持たせておくのが得策です。
動画ファイルなどGB級のファイルも当たり前になっているので、最低5GB~くらいは余裕がほしいところです。

メモリを選ぶ基準

メモリを選ぶ基準は、主に4つ。

  • メモリチップ
    • Elpida、Hynix、Micron、Nanyaといったものが有名。
  • 基板
    • DDR3では普通は6層ですが、高品質なものは8層が採用されています。
  • CL
    • CL(Column Address Strobe Latency)は、CL11、CL9と表されているものです。
    • CLはレイテンシを表しており、一般的には数値が小さいほど高速です。
  • 動作電圧
    • デスクトップでは、基本的に、低電圧版ではなく通常電圧版を選びます。

高品質なOCメモリ

価格下落によりメモリの品質が下がってしまっていることがあります。
その際、OC(オーバークロック)メモリを選び、わざとクロック数を下げることで品質を確保することもあります。

枚数が少ないほうが安定しやすい。またセット品のほうが安定しやすい

配線長の影響などを考慮した場合は、次のようにすると安心度が増します。
4GBx4枚で16GBよりは8GBx2枚で16GB。
4枚使う場合は2枚セットx2箱よりは4枚セットx1箱。

メモリ対応表

マザーボードベンダー各社はメモリ対応表を公表しています。
そこに載っているメモリであれば動作確認がとられているメモリとなります。
もし動作しない場合は、マザーボードではなくメモリの不具合である可能性が非常に高くなります。

地雷品   ※やや古い情報

一時期、GeILはあまりにも不良が多く(arkで注意書きが載ったほど)ネタとしてもてはやされたことがあります。
UMAXはDDR2後期以降はヒートスプレッダ、チップ剥がれ問題で避けられる傾向です。

世界シェア   ※2016年第1四半期

  • DRAMの世界シェア
    • Samsung(韓) → 46.4%
    • SK Hynix(韓) → 27.1%
    • Micron(米)  → 18.5%

現在のElpidaはMicron傘下となっています。
Elpidaチップは過剰品質といわれるほどのチェックを体制をとっていたため破産した、という噂があります。




メモリ規格

デスクトップ型パソコンで使われるメモリの規格は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)です。
システムクロックに同期(シンクロナス)して動作します。

2016年9月現在は、DDR4 SDRAMとDDR3 SDRAMが主流。
DDR2 SDRAMはその前の世代。

DDR4 SDRAMとDDR3 SDRAMに互換性はありません。
288ピンと240ピンでピン数が違い、切り欠きの位置も違うため物理的にはまりません。

  規格 動作周波数 最大転送速度 ピン数
モジュール チップ
DDR4 SDRAM PC4-25600 DDR4-3200 3200Mhz 25.6GB/s 288ピン
PC4-21333 DDR4-2666 2666Mhz 21.333GB/s
PC4-19200 DDR4-2400 2400Mhz 19.2GB/s
PC4-17000 DDR4-2133 2133Mhz 17.0GB/s
DDR3 SDRAM PC3-17000 DDR3-2133 2133MHz 17.0GB/s 240ピン
PC3-14900 DDR3-1866 1866MHz 14.9GB/s
PC3-12800 DDR3-1600 1600MHz 12.8GB/s
PC3-10600 DDR3-1333 1333MHz 10.6GB/s
DDR2 SDRAM PC2-6400 DDR2-800 800MHz 6.4GB/s

モジュール規格 → メモリの転送速度
チップ規格    → メモリバスの周波数
DDR3L      → 低電圧メモリ規格。通常のDDR3は1.5Vのところ、1.35Vで動作




用語解説

SPD

SPD(Serial Presence Detect)は、メモリの設定情報が書き込まれたROMです。
これによりメモリは、マザーボードに挿すだけで、自動的に最適な状態で動作します。

メモリ規格、速度、周波数、CL、電圧、などが書き込まれており、
それらは、JEDEC仕様に準拠した、標準の設定情報です。
CPU-Zなどのソフトで、SPDの情報を見ることができます。

XMP

XMP(eXtreme Memory Profile)は、SPDにオーバークロック動作時の情報を追加したもの。
Intelが提唱した規格です。
XMPに対応しているメモリならば、UEFI上やオーバークロック・ソフトウェア上などで(XMPを)選択するだけで、簡単にオーバークロックができます。

AMDにもAMP(AMD Memory Profile)という規格があり、
これに対応しているメモリならば、同じように簡単にOCができます。

ちなみにAMDマザーでもXMPを読み込める場合があります。
読み込めない場合は、手動でのOC設定が必要になりますが、
その際、CPU-Zなどを使えば、XMPのSPD情報を読み取り参考にすることができます。

共有メモリ

CPU内蔵GPUを使う場合は、システムメモリの一部をビデオメモリと共有します。
そのため、メインメモリのクロックを高くするとグラフィック性能向上が見込めます。

ただし、CPU内蔵のメモコン自体の対応周波数より高い場合は、OC状態となることに注意してください。
OC状態の場合、システムが不安定になる可能性があります。




3つの注意点

注意点1  4GB以上のメモリを使いたい場合は64bit版

4GB以上のメモリを使いたい場合は64bit版OSを使います。
既存アプリの動作確認が取れる場合は、64bit版のOSを使用したほうが機能面でも有利です。
32bit版ではメモリを4GB積んでも3GB超までしか認識できない制限があります。(←1GB程度利用できないが積んでいても不具合は生じない)

注意点2  Windows7 エディションによる制限

Windows 7 Home Premiumでは64bit版であっても16GBまでのメモリしか認識できない制限があります。
Windows 7 Professional以上のエディションではこの制限は192GBまでとなっています。

エディション 32bit 64bit
Windows 10 Enterprise 4GB 2TB
Windows 10 Education
Windows 10 Pro
Windows 10 Home 128GB
 
Windows 8 Enterprise 4GB 512GB
Windows 8 Professional
Windows 8 128GB
 
Windows 7 Ultimate 4GB 192GB
Windows 7 Enterprise
Windows 7 Professional
Windows 7 Home Premium 16GB
Windows 7 Home Basic 8GB
Windows 7 Starter 2GB N/A


8GBモジュールの価格も下がってきていることから、4スロットをフルに使った32GB構成が可能となっていますが、
Windows 7 Home Premiumの場合は、16GBまでしか認識できないことに注意してください。

注意点3  Windows7ではメモリが増えるとシステムファイル(Cドライブの容量)が増える

メモリ容量が多いとシステムファイルであるpagefile.sys、hiberfil.sysが肥大化します。
特に低容量のSSDを使っている人は要注意です。
搭載メモリの約2倍の容量が増えます。

たとえば32GBのメモリを搭載した場合、pagefile.sysとhiberfil.sysの2つのファイルで約58GB使用します。

■pagefile.sysとは
物理メモリが不足した際に、仮想メモリとして物理メモリの内容を一時的にハードディスクに退避させるためのファイル。
無効にすると、予期しない動作が発生する可能性があるため、容量が気になる場合は、仮想メモリの設定で「カスタムサイズ」を選択し、サイズ割り当てを調整する方法を推奨します。

■hiberfil.sysとは
ハイブリッドスリープやハイバネーション実行時に用いられるファイル。
スリープ時にメモリ内容をハードディスクに保存するため、搭載メモリが多いほどファイルサイズが大きくなります。
hiberfil.sysは無効にしても、ハイブリッドスリープやハイバネーションが使用できなくなるだけで、単なるスリープ(XPでは「スタンバイ」という名称)は使えます。

■XPと7とでは名称が変わっており、ややこしいので簡単にまとめると次の表になります。

スリープ
ステート
XP 7 作業内容
S1 スタンバイ スリープ(?)  
S2 スタンバイ スリープ(?)  
S3 スタンバイ スリープ メモリに退避
S3→S4 / ハイブリッドスリープ 最初はメモリに退避。時間が経つかバッテリーが減るかでハードディスクに退避。
S4 休止状態
(ハイバネーション)
休止状態
(ハイバネーション)
ハードディスクに退避
S5 シャットダウン シャットダウン  

UEFI(BIOS)の設定でS1、S3、Autoを選択できると思いますが、Autoのままで問題ありません。
選択する場合はS3をお勧めします。

  • Suspend Mode 「S1」・・・CPU/メモリ/チップセットに通電したまま休止するモード
  • Suspend Mode 「S3」・・・現在の状態をメモリに保持し、メモリのみ通電したまま電力を遮断するモード

リンク





ボトルネック

実のところ、他パーツ(回線の比重が高い)がボトルネックとなってメモリの性能差が体感に与える影響はかなり小さい。
また、デュアルチャンネルにしても同様に影響差は小さい。




代理店   ※やや古い情報

代理店情報はメモリ交換時の目安として参考程度に。

各MBベンダと同じ代理店が扱っている物。

ASUS GEIL(MVK)
EVGA CORSAIR(リンクス)
ASRock A-DATA(サードウェーブ=ドスパラ)
BIOSTAR GEIL(MVK)
GIGABYTE ELIXIR(CFD)
FOXCONN CORSAIR(リンクス)




RAM-Disk

OSが認識できるメモリが3GB前後だった32bitOSの時代。
OS管理外メモリを使ってファイルの読み込みを高速化する「RAM-Disk」が流行しました。
OSやブラウザなどの一度読み込んだファイルをOS管理外メモリに保存(キャッシュ)し、2回目からはそこから読み出す仕組みです。

しかし今では64bitOSが主流になり、空きメモリを大量に作れるようになりました。
Windowsでは、SSDやHDD、あるいはインターネットなどから一度読み込んだファイルは、片っ端からメモリの空き領域に保存され(スタンバイ/キャッシュ)、2回目からは高速に読み出されます。

RAM-Diskの流行

2008年春頃より「RAM-Disk」が広まり、
一定のスキルがあれば32bit版OSでも、OSの認識外の領域を活用できるようになっている。
ただし、何が起きても自己責任。














 

  • 最終更新:2016-10-09 13:14:41

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