PCケース
◎ パーツ選定のポイント 8
選定基準は、①性能、②メンテナンス性、③外観、の順
空冷性能と静音性(能)
空冷性能と静音性は二律背反。
しかし、最近の静音ケースはフタを何ヶ所か外すと空冷ケースに変身するものが多く、ある意味、両立できる。
また年々パーツの発熱が減っていることもあり、静音ケースの人気は高まっている。
あえてまとめるなら
- 夏場の室温が高い場合 → 空冷重視が良
- ハイエンドグラボ搭載 → 空冷重視が良
- SLIやCFをする人 → 空冷重視が良
空冷ケースの欠点としては、音が漏れること、フィルターがないとケース内部に埃が溜まりがちなこと、などがあります。
タワーケースの分類
タワーケースは大きさ、特に高さで大体分かれている。
(明確な区分け/基準はなく、大まかなもの)
フルタワー | 一番大きい区分けのケース。ATX以下大きさのマザーボードに対応し、一部はE-ATXにも対応する。冷却性やエアフローなどに優れているものが多い。巨大なだけでなく、ケース自体が非常に重い。 |
ミドルタワー | BTOの主力ケース。ATX以下の大きさのマザーボードに対応している。フルタワー同様、市販のメーカー製PCと比べてかなり大きいため、大きさを調べずに買って置き場所に困る人も少なくない。 |
ミニタワー | Micro-ATX以下の大きさのマザーボードに対応し、ミドルタワーと比べると筐体高が低い。奥行きが短いタイプのケースは、パーツ同士の干渉が起こりやすいので注意。 |
一般に大きいケースは対応するマザーボードの規格が多く、様々な状況に対応できる。内部が広い分、メンテナンス性もよい。
小さいケースでの構成は安いパーツを選択しやすく、比較的安価になることが多い。
大手ショップを含めたほとんどのBTO店は、いくつかのBTOモデルを用意しているが、
この分類で分けていることが多い。
ミドルタワー、ミニタワーが主力商品
タワーケース自体が汎用性の高いケースであるといえるが、
特にミドルタワーケース、ミニタワーケースは汎用性が高く、BTOパソコンの主力商品となっている。
パーツ選択の自由度が高い店を利用する場合は、物理的に搭載不可能なパーツ選択も出来てしまうため、
対応するマザーボードの規格を確認しておくこと。
ATXケース、Micro-ATXケース、mini-ITXケース
マザーボードの規格で分類したケースの呼び方もある。
(例:ATXケース Micro-ATXケース mini-ITXケースなど)
この分類の呼び方は構成を想像しやすく、店によってはこの呼び方を多用する。
PCケースは必ずしもタワーケースばかりではないため、特に品揃えの良い実店舗などではわりと良く見かけられる。
■マイクロタワー
店によってはミニタワーケースのことをマイクロタワーと呼称することがある。
これはミニタワーケースがMicro-ATXマザーボード対応であるためと思われるが、一般的ではない。
(Micro-ATXケース、または、Micro-ATX対応ケースと呼称すれば正しい。)
ハイエンドビデオカードが入るメジャーケース ※更新停滞中
大型のTEMPEST、COSMOS、HAF、Sniperも入ります。
※HD5970が約310mmと巨大なため、ウルトラハイエンドゲーマーはE-ATX対応ケースなどの奥行きのあるケースを。
グラボ長さの目安。(ボードの長さはビデオカードによって違うので、必ず確認すること)
HD 5970 305mm
HD 5870 281mm
GTX285 267mm
HD 5850 241mm
HD 5770 208~220mm
HD 5750 182mm
各ベイの数を確認しておこう
- 5インチベイ
- 主に光学ドライブに利用
- 光学ドライブを複数搭載する人は要確認
- 小物置き、ファンコン、HDDを外から抜き差しできるベイ、等々に利用することも
- 5インチベイが無いケースもある
- 3.5インチベイ
- カードリーダー、フロントUSBポート、FDD、HDDなどで利用
- 3.5インチベイが無いケースも多い
- 3.5インチシャドウベイ
- 3.5インチHDDの設置に使われる
- ゲーミングケースでは大きく削られることも多いので、HDDが多い人はベイ数を要確認
- HDDの設置は一つ置きが基本です(冷却のため)
- 2.5インチシャドウベイ
- SSDや2.5インチHDDの設置に利用
3.5インチベイや3.5インチシャドウベイに増設するパーツは、
以下の様なアダプタを使えば5インチベイに増設することも可能。
ケースファン
ワンズなど、フルカスタマイズでのケースファン選びの参考に。
オプションファンを追加する場合
ケースファンをオプションで増やす際には、
ケースを売っているメーカーのHPなどで、必ず、
オプションでつけられるケースファンのサイズや数を確認すること。
ケースファンのサイズは、規格で8cm、9.2cm、12cm、14cmなどがある。
20cmファンは規格が定まっておらず、20cmファン対応と書いていても、取り付けできない場合もある。
25mm厚が主流だが
厚みの方にも規格があり、15mm、20mm、25mmなどがある。
大抵のケースは25mmのケースファンの取り付けは可能ではあるが、
ケースやパーツの構成によっては25mmでは物理干渉が発生し、
20mmのケースファンしか取り付けできなかったり、
下手すれば全くケースファンが取り付けできなかったりすることもあるので、注意すること。
ペリフェラル給電とファンコネクタ給電
ケースファンの電源ケーブル接続方式には、ペリフェラル4Pinとファンコネクタ3Pin(もしくはPWM4Pin)の2種類あります。
どちらでもつなげられるようになっているケースファンもありますが、
たいていはどちらか片方のみしかつけられないので、
ケースファンがどちらにつけられるのか必ず確認すること。
この確認を怠った場合、物理的に取り付けできないケースファンを選んでしまう事があるので、注意すること。
ケースファンと静音性
ケースファンは回転数や風量によってノイズレベルが違います。
一般的に、回転数が増えれば増えるほど風量もノイズレベルも増え、冷却性能も上昇。
静音性を重視するなら、回転数の低いファンを選びましょう。
ただし、回転数の低いファンは、風量が少なく、冷却性能もそれなりです。
ファン回転数の制御
ファンコンなどを使って、温度に合わせて回転数を変えることも出来ます。
また4ピンPWMファンの場合は、BIOSあるいはマザーボードのソフトウェアなどで回転数を調節可能。
ただし、マザーボードにケースファン用の4ピンが必要です。(無い場合も多い)
Q&A
Q:ベアリングによる違いは?
A:一般的に耐久性ならボール、静音ならスリーブ(垂直設置に限る)であるが、
耐久性と静音性を兼ね備えたスリーブの改良型である流体軸受(FDB)も多く見られるようになった。
Q:メーカー公称で低dBのファン買ったけど、他メーカーのファンより五月蝿いのはなぜ?
A:各メーカーにより騒音の計測にばらつきがあるから。
Q:静圧タイプのファンってどういう意味なんですか?
A:静圧とは風を送る(吸い込む)力のこと。正確には静圧重視タイプという。風圧のひとつ。
静音性や品質で実績のあるファンメーカー
- XINRUILIAN(国内代理店は長尾製作所)
- Scythe(サイズ)
- オウルテック
- ENERMAX
定番ケース
- Antec P100
- CM690 III
- Fractal Design Define R5
そのまま使うなら静音寄り、しかし、
ファンを増設したり、ケース蓋を外したりする等で冷却寄りに振れる"バランス形"ケースが増えている。
オープン5インチベイのないケースも登場しているが、ここでは推奨しない。
よく名前の挙がるミドルタワーケース
Antec P100 ★静★ (リア12cm フロント12cm x1 / [オプション] フロント14cm x1 トップ14cm x2)
扉つきの静音モデルで底面電源設置+吸気フィルタ。5インチベイ2、3.5/2.5インチベイ7。CPUクーラー高さ170mm。
最大で約315mmのグラフィックカードに対応。デフォルトのリア12cm フロント12cm x1ファンを外して14cmファンに交換可能。
若干軽量ではある。スイッチとUSBが正面についているタイプ。
CM690 III ★冷★ (フロント20cm リア12cm x1 / [オプション] 左サイド20cm x1 or 12cmx2 ボトム12cm x1 トップ12/14cm x2 or 20cm x1 3.5シャドーベイ12cm)
5インチベイ3、3.5/2.5インチベイ4+3。2.5インチシャドーベイ3。ビデオカード対応は280mmまでだが、3.5インチベイ内4段を外して423mmまで対応。
CPUクーラー高さ171mm。最大9個のファンを運用可能。吸気フィルタは底面、前面、上面。とにかく冷やしたい人に。
有力なMicro-ATX対応ケース
SilverStone SST-FT03 (トップ12cm ボトム12cmx2)
W235mmxD284mmxH487mm 6.7kg 3.5インチシャドウベイx3 2.5インチシャドウベイx1 上部USB3.0x2(マザーボードバックパネルまたは拡張カードUSBコネクタから延長)
CPUクーラーは高さ167mmまで。電源は奥行き180mm(プラグイン電源は160mm)まで。
ボトム12cmファン1基を8cmファン2基に換装すれば約350mmまでのグラフィックカードに対応。
トップ排気を特長とする煙突タイプのケース。その特徴的な形状から『ゴミ箱』などと呼ばれることもある。
拡張スロットを冷却するための、増設8cm/9.2cmファン用ブラケットが付属している。
光学ドライブを内蔵する場合は薄型のスロットインタイプのみの対応なので注意。
SilverStone TJ08B-E (フロント18cm / [オプション] リア12cm)
W210mmxD385mmxH374mm 5.3kg 5インチオープンベイx2 3.5インチオープンベイx1(2.5/3.5インチシャドウベイ利用可) 3.5インチシャドウベイx4 2.5インチシャドウベイx1 フロントUSB3.0x2
CPUクーラーは高さ165mmまで。電源は奥行き160mmまで。メモリは高さ54mmまで。グラフィックカードは長さ約337mmまで。
マザーボード倒立レイアウトを採用し、フロント18cmファンによる内部正圧を利用した直線的なエアフローでのスムーズな冷却を目指した作りになっている。
HDD(ケーブル含む)、メモリ、CPUクーラーが相互に干渉する可能性があるので注意。
そのほかに長めのグラフィックカードを支えるGraphics Card Supporterや、CPUクーラー支持用のサポーターアームなどのギミックがある。
天板にマグネット固定式フィルタ付の電源用の給気孔がある。グラフィックカードは外排気タイプが推奨されている。
姉妹品にチタニウムカラーのSST-TJ08T-Eが登場。
PS07はフロントパネルの仕様を変更した廉価版モデルで、フロント18cmファンが12cmファンx2に差し替えられている。
TJ08-Eにはあった3.5インチオープンベイが無くなり、シャドウベイとしての利用となっている。
Fractal Design Define Mini ★静★ (フロント12cm リア12cm / [オプション] フロント12cm サイド12/14cm ボトム12cm トップ12/14cm)
W210mmxD490mmxH395mm 9.5kg 5インチオープンベイx2(3.5インチベイ変換ベゼルx1付属) 2.5/3.5インチシャドウベイx6 フロント上部USB3.0x1
CPUクーラーは高さ165mmまで。ボトムファン搭載時は電源は奥行き170mmまで。
ケース内部に防音シートが貼られた、静音タイプのMicro-ATXケース。
HDDゲージの内、上の3段は着脱や取付方向変更が可能。取り外せば400mmまでのグラフィックカードに対応。
電源は下置きで、底面給気が可能。3系統1チャンネルのファンコントローラーが付属。
■ PCケースメーカーの特徴 ※更新停滞中
Antec
設計が古い、内部が狭いといくら言われようと、底面吸気を嫌い、HDDは縦刺し形式が中心。
PCI系拡張スロット部分はツールフリーではなくネジ式を貫く。
防塵、ファン効率(静音+冷却)、剛性をとにかく重視する。またHDDの防振対策は大抵施されている。
かといってマザーCPU部分裏のCPUクーラー設置用の穴を開けたり裏配線ができる設計をしたりと、
最低限の設計変更は行っている。中が狭いためメンテは面倒。中をいじらない方向け。
Cooler Master
最近流行のL型大型ファン搭載電源用の底面吸気穴を用意したり、
グラボ巨大化に対応するため、長さ大きめ+HDD横刺しの内部が広い構造を好む。
またPCIスロット側をツールフリーにするなど流行に敏感。中が広いためグラボ取り替えなども楽々。
古き良きを頑固に守ろうとするAntecとは対照的。
Fractal Design
SilverStone
マザーボード倒立レイアウトや煙突排気など、ケースの設計が実に野心的。
正圧タイプのエアフローを好み、指向性に優れた徹甲弾ファンを給気に使用した冷却が特徴。
CORSAIR
Abee
日本製を売りにするメーカー。工作精度やサポートの質が非常に高いが、値段も非常に高い。
Lian-Li
NZXT
In Win
高価格帯と低価格帯で志向性がはっきり分かれるメーカー。
普及機は常識的なデザインと価格なりの工作精度、剛性でほどほど使いやすい。
一方で高級機はパネルが強化ガラスであったりオープンエア構造であったりとコンセプト&デザイン最優先で非常に尖っている。
高級機は機種毎にその特性を把握し、それに応じた組み方やパーツ構成、メンテを考える必要も出てくる為、自作にある程度慣れた人向け。
初心者はこのメーカーの高級機は扱い難かったり持て余してしまったりする可能性が高く、高級感やデザインに魅力を感じても選ばない方が良い。
Thermaltake
サイズ
代理店としての立ち位置もあり、いろんなメーカーのさまざまなケースを出す。
ほとんどが低価格帯のケースで、自社製品には電源付きケースも多い。
ファンの取り付け穴がいろんな大きさの物に対応しているので、
セカンドマシン以降の余剰パーツでPCを組む時に、余り物のファンが無駄にならない。
省スペースPCケースについて
モデル選択タイプのBTOでは取り扱われることは少ない。
ミドルタワーケースなどと比較すると、省スペース化することの引き換えに、
何かを犠牲にしている(ベイ搭載数、CPUクーラー高、冷却性能など)ので、
ある程度自作慣れした人向けのケースであると言えるだろう。
CPUクーラー、グラフィックカード、電源などの実装に制限がある場合が多いため、
ケースの仕様を良く確認しておくこと。
スリムタワー
薄型のケース。
5インチベイが縦長に配置されている。
(薄型のため水平に取り付けできない)
基本的には縦置きだが、横置きに対応しているものもある。
横置きケース
基本的にはスリムケースと同じだが、横置き前提に設計されている。
マイクロタワー、キューブなど
大きな特長である『小さいこと』を最大限生かすために、MiniITXや、
それ以下の大きさのマザーボードに対応したケースであることが多い。
ミニタワーケースよりも小さいタワーケースをマイクロタワーと呼ぶことがある。
ベアボーンって何?
自作用のキットのようなもので、ケース・マザーボード・電源などのパーツを1つに組み合わせている。
コンパクトにまとめられているものが多く、それゆえに拡張性などに関しては期待できない。
マザーボード部分は、ソケット部分が通常のATXマザーボードと異なる場合もあるので、
キットの仕様に関しては、個別に確認する必要がある。
ベアボーンの中でも小型のものには、以下などがある。(2016年09月現在)
■NUC
Intelの小型ベアボーン
■BRIX
Gygabyteの小型ベアボーン
■ZBOX
Zotacの小型ベアボーン
■VivoMini
Asusの小型ベアボーン
■Cubi
MSIの小型ベアボーン
■XPC
Shuttleの小型ベアボーン
ケースあれこれ
電源付きケースってどうよ?
ケースと電源を個別に用意するより安く組めるため、一部のBTO店では基本構成として採用していることもある。
一般的には低コストでクオリティーが低く、特に電源の質が問題になることが多い。
電源を別に選択した場合は付属の電源が余ることになるが、そのパーツの扱いについては、買取り・引き取り・同梱送付など店によって違う。
エアフローについて
解説中のAir Pressureを受けやすいのは、吸気口が少ない密閉静音ケースである。
密閉型で吸気が弱いケースで冷却を向上させたい場合は、排気ファンより吸気ファンの強化を優先すると良い。
また、フロントファンの増設は、防塵効果が期待できる。
HDDの設置方式
横から挿すタイプとフロント側から挿すタイプのケースに分かれる。
横:ケース内部が広くなり、メンテがしやすい。グラボがHDDと干渉しにくい。
縦:フロントファンの効率が良い(静音向き)。狭いケースでもHDDと干渉しつつも長いグラボを搭載できる。
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- 最終更新:2016-10-10 03:28:17